盗作法話の部屋
「先祖のさわり」002_02/10/30up)
ひといちばい、気まじめなぁ熊さんだったが、何せ気が小さい。ちいせぇこと、くだらねぇことにもいつも気をもんでなやんでぇいたそうな。
そして、ある時街で、おがみ屋によびとめられたと。
「お前さんは、なにをやっても思うとおりにはいかないであろう。そのとおりでないか?」
「はぁ、まぁそういわれてみれば、そのとおりでして・・・。カカァもガキも、オレのことなんざぁこれっぽっちも気にしゃしねぇし、バァさんは、近所にでかけちゃあヨメの悪口ふれ回るのにいそがしい、メシもサケもまずいったらぁありゃしねぇ・・・。」
「さもあろう、それはな、おぬしの先祖がさわっているからだ。ワシの処に来れば、良いように先祖を浮かばせてやるぞ・・・。」
はたと思い当たった熊さんは、さっそく菩提寺の和尚の処にかけこんだと。
「おい、和尚さんよ、オレが上手くいかないのは、先祖がさわっているからだとよ。和尚がちゃんとオレの先祖を供養していやがらねぇからじゃねぇのかい?」
「おう、熊さんかい。そういゃあ、あめぇさん、さっき寺の門の前でコケたね? そりゃ、お前さんが不注意だったからかい? それともご先祖さんのさわりだって言うのかい?」
「・・・・・」
「てめぇの不注意タナにあげて、ご先祖さんのせいにするようじゃあ、そりゃー、ご先祖さんも腹が立ってお怒りなさるだろうよ。」
「・・・・・」